社内報のキソ

社内報のキソ

3-3.進行管理の達人になる

発行目的を明確にし、企画のおおまかなコンテンツが決まった後は、各号の発行スケジュールの作成に移ります。

余裕を持ったスケジュールを立て、取材や寄稿のやり取りが円滑に進めば、関係者全員のエンゲージメントが高まります。 進行管理の巧拙は、関係者全員の仕事の進めやすさに直結し、ひいては成果物である社内報のクオリティにもかかわります。ここでは、その第一歩としておさえておきたい基本的な工程と進行管理力の磨き方について紹介します。

基本の制作工程

社内報が完成するまでに、各工程で設ける期間や社内確認に必要な期間などは会社によってさまざまですが、 ここではその目安となる日数を紹介します 。

 

 

  • 企画立案から編集会議まで

→約2週間

※会社としてどんな情報を発信していくべきか、その情報をどんな切り口で取り上げるべきかを編集会議までにまとめておきましょう。

 

  • 編集会議

→約1日

 

  • 寄稿先、取材先の選定と打診

→約10日

※取材の場合は、取材日時を依頼日から2週間程度先に設定できるとスムーズに進みます。

 

  • 取材から原稿執筆

→約1週間

 

  • 部署内確認

→約3~5日

※関係部署が多い場合は、その分時間もかかるので早めに進めておく必要があります。

 

  • デザイン制作

毎号同じデザインを使って展開する定例企画と、特集などの新規企画では、作り込みにかかる日程も変わってきます。

定例企画→2~3日程度

新規企画→3~5日程度

 

  • 印刷・製本・仕分け・発送

約1週間

※部数やページ数、発送先の数などによって変動

 

編集会議は発行の3カ月前には行ってください。普段より時間がかかりそうな工程には余裕を持たせてスケジューリングするよう心掛けましょう。企画立案の工程も含めて逆算すると、4カ月前には動き始めるのが妥当です。

進行管理力を極める

毎回、早めに着手してスケジュールを立てても、様々な要因でずるずると後ろ倒しになり、校了間際でなぜかバタバタしてしまうということは珍しい話ではありません。稟議がなかなか通らず企画が決まらない、急な上からの意見で内容を作り直し……など、思ってもみない要因で遅れが発生することも、多々あります。まずは、今お悩みのその遅れが、下記の2点のどちらの理由で発生したものであるかを意識してみてください。複合要因であれば夫々の理由がどれくらいの割合で影響下かを分けて考えましょう。それを正確に把握するところから、改善が始まります。

 

  • 1最初にしっかり段取りしておくことができなかった
  • 2遅れた時の仕切り直しが間に合わなかった

 

1.最初にしっかり段取りしておくことができなかった

とにかく最初の段取りは大切です。基本的なスケジュールは毎号一緒ですが、企画ごとに気を付けるポイントは異なります。経験の浅い担当者様の場合、全てを最初から完璧にスケジュールできるというのは奇跡的なことで、どこかでつまづきを経験しながら、次回からの段取りに向けて自分のスケジューリングを微調整していく努力が、その後スキルアップできるか、消耗し続けるかの分かれ目になります。

 

「原稿段階での確認が必要か?」「デザインでの最終チェックでよいのか?」「どの段階で稟議に回すのがよいか?」などは、企画によって異なります。それ等のさまざまなバリエーションを、できるだけ具体的に日数でイメージできるようになりましょう。

ここでは、実際の事例を用いて、稟議の流れを確認してみましょう。

 

例)「新製品の特集」の稟議の流れ

・1特集企画の方向性について、事前に担当部門に相談を実施(3営業日)

 ↓

・2広報部で企画趣意書を作成。この段階で広報部長チェック(1週間)

 ↓

・3広報部長チェックを通った企画趣意書を担当部門でチェック(3営業日)

 ↓

・4取材、原稿執筆。原稿は広報部内でチェックし、デザインに反映(1週間)

 ↓

・5デザインが仕上がったら、デザインの状態で担当部門に一度チェック(1週間)

 ↓

・6最終校正を実施し、発行直前に他の企画と併せて広報担当役員チェック(3営業日)

 ↓

・7校了、発行

上記は一例にすぎません。原稿の段階で担当部門にチェックいただく必要があるかもしれませんし、広報担当役員に企画趣意書の段階でチェックいただく必要があるかもしれません。「役員確認が必要なのか?」はたまた「社長まで確認が必要か?」「現場確認には回すのか?」などチェックフローをあらかじめ明確にしておき、確認者の予定を押さえておきましょう。

 

また、営業日であっても、全社的なイベントや、その役員が多忙のタイミングであるとそれで流れがとまってしまいますから、①会社の主要なスケジュールを押さえておくこと②出来るだけ早くに関係者にスケジュールをシェアして稼働予定を確保しておいてもらうこと、が重要です。

 

 

2.遅れた時の仕切り直し

どんなに段取りしておいても、遅れてしまうことはあります。そのようなときには、その後のスケジュールを再調整し、いかに仕切り直すかが、その後の進行を左右します。「スケジュールをずるずると曖昧にしておくこと」だけは避けなければなりません。当初のスケジュール通りにいかないことが分かったら、ただちに段取りを組み直し、更新したスケジュールを関係者に共有しましょう。

 

最後に、できる社内報担当者がどのような進行管理を実施しているのか、3つのポイントをご紹介します。

 

  • 1編集会議時点で発行までのスケジュールを明確に

編集会議を開催するときには台割、企画内容、取材内容など決めるべきことを明確にしておき、編集会議後にスムーズに次のアクションに進んでいけるようにしましょう。繰り返しになりますが、最初の段取りが非常に大切です。発行までのチェックポイントを明確にして、「決めた道筋に沿って後は進むだけ」という状態までクリアにして、関係者のイメージを揃えておくことがベストです。

 

  • 2協力者の時間は早めに押さえる

寄稿協力をいただく方、チェックいただく方、また外部のカメラマンやライターの予定、制作会社との連携など、関わる人は何人もいます。「発行前の社長チェックの予定を押さえていなかったら校了間際に海外出張に出られてしまった」という実話もあります。社内報制作は決して一人ではできません。

 

特に多忙な役職者に確認いただかねばならないポイントでは、その方の予定をしっかりと押さえて、スケジュールをコントロールしていきましょう。スケジュールを補佐する秘書がいる場合は、その仕事をずらさないことがどれだけ重要かということを、その方に理解してもらうことも、重要です。

 

  • 3協力者の方には優しくリマインド

進行に遅れが出る一番の理由は、原稿がなかなか集まらないというもの。原稿依頼をしている方へは、締め切り1週間前、3日前、前日、当日朝と、何度もリマインドのご連絡をしましょう。あまり一方的・高圧的にしつこくしては煙たがられてしまいますので、言い方に細心の注意は必要ですが、普段の業務の合間で忘れられてしまうことのないよう、相手の立場に立った丁寧なリマインドは大事なスキルです。

まとめ

社内報を作る際に非常に重要になるのが今回紹介した進行管理です。印刷して配布するものですので、最終的なスケジュールに間に合わないと、大きく予定を変更する必要があります。紹介した方法でしっかりとスケジュール管理をして、一流に社内報担当者を目指しましょう。

 

校了・発行日が毎回ズレる

Q 余裕をもってスケジュールをたてても、最期の最期でくつがえされて校了・発行日がずれることが多いです。

A 社長確認や役員稟議などの重役確認には特に長めの時間を設けましょう。十分な余裕をもった計画のポイントを紹介します。

 

特集ページの変動により発行が遅れる

特集ページの変動により発行が遅れる

Q 毎号、メインの特集の企画・ページ数が全く違うため、他の企画の制作着手に影響してしまい、いつも発行日が遅れてしまいます。

A 台割(ページ数)を何パターンか想定して企画をすすめたり、バッファとして使える企画を用意するようにしましょう。

 

 

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