社内報のキソ

社内報のキソ

4-2.ITの活用

オンライン社内報の導入後に、その特性を活かすための視点を紹介します。

最適な更新頻度とタイミングを追求する

1、週に2回程度の更新が理想

オンライン社内報の更新頻度は、業態や職種にもよりますが、だいたい週2回程度がちょうど良いようです。

 

それよりも頻繁に、例えば毎日更新のお知らせを受け取ると、業務で忙しい社員はむしろ「またきたか」「あとで見ればいい」」と言う意識になってしまい、かえってマインドシェアが薄れてしまいます。

 

せっかく作った記事が読まれないほどもったいないことはありません。伝えたい内容が多くて毎日更新をする場合でも、漫然と更新してバラバラと通知を送るのではなく、以下のような工夫をしましょう。

 

  • 一つひとつの記事の目的を明確にして品質を下げない
  • キャッチ―な記事タイトルを付ける
  • 記事への導線設計(他の記事からのリンクなど)を工夫する
  • 更新は随時でも、通知はある程度まとめてリストで送る

 

また、アクセス数やメール通知からの開封率などの推移は常に曜日別や時間帯別にウォッチして、自社の社員に最適な更新頻度や配信のタイミングを探っていきましょう。

 

【Q&A】Web社内報がなかなか閲覧されない

 

2、月2回以下の更新はむしろマイナス

実際にオンライン社内報を導入している企業に対するJBAのアンケート(2019年調べ、母数=N社)では、約半数の会社が、更新頻度は月2回以下であると回答しました。しかし、紙媒体なら頻繁といえるそのサイクルでは、オンラインの場合、社員のロイヤリティが大幅に低下することが分かっています。それでは、月1~2回まとめて記事配信するメールマガジンと変らず、配信直後以外はアクセスが伸びないのです。

 

IT化が全ての問題を解決するわけではありません。システムの導入にはその後の運用が伴います。「結局オンラインに反映する手間がよけいにかかるばかりで、紙媒体だけでよかった」ということにならないよう、何のためのオンライン化か、その運用体制をどうするかのイメージをしっかり固めて導入に踏み切りましょう。

 

 

3、更新頻度を上げるためにできること

とはいえ、実は既に開店休業状態になってしまっているという担当者様向けに、いくつか更新頻度を挙げあるためにできる取り組みを紹介します。

 

    • 1予約投稿機能を使う

更新の負担軽減のために活用したいのが、「予約投稿」の機能です。

たとえば、毎週火曜と木曜の朝9時にWeb社内報の記事を更新すると決めたなら、事前にまとめて複数の記事を設定し、いつ公開するかという予約投稿をしておくことで運用負荷を下げることが出来ます。

 

定例運用しやすい大量生産コンテンツとして真っ先に挙がる例は「社員紹介」企画です。オンラインの社員紹介の良いところは、対象の社員を厳選する必要がない点です。

 

特定の部署から順次というのでは単調な感じになってしまうので、リレー形式で登場した社員に次の社員(未登場の人)を紹介してもらうような工夫をするのもよいでしょう。

 

  • 2投稿者権限を他部門に広げる

Web/App社内報の市販のパッケージには、おおむね「投稿者権限」と「編集者権限」が設定されています。活発な更新頻度を維持するために、そのシステム的な役割分割の機能を積極的に活用しましょう。

 

社内の他部門がどのような情報発信をしたいかをヒアリングしてみましょう。案外多くの部門が、継続的に全社に発信したい事柄のニーズをもっているものです。

 

他部門の協力者に投稿者権限を付与して記事を作成してもらい、社内報担当者が承認・公開するという分業体制で、活発なオンライン社内報作りに成功する会社が増えてきています。

 

他部門に直接運用してもらうコンテンツの実例としては以下のようなものがあります。

 

  • グループ会社の広報担当者に投稿してもらう「グループニュース」
  • CSR部門に運用してもらう「CSRトピックス」
  • 人事部に更新してもらう「おしえて! 働き方改革」
  • サポート部門に共有してもらう「お客さまの声」 など

 

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アクセス解析の第一歩

ここでは、実際にオンライン社内報の導入を終えて運用が始まったら、その分析可能性を生かしていかにPDCAサイクルを回すかについて少し踏み込んで紹介します。基本はコーポレートサイトやマーケティングサイトと同じです。

 

1、四半期に一度の分析の習慣をつける

アクセス解析ツールには様々なものがありますが、もっとも一般的なのは、無料かつ高機能なGoogle Analyticsです。

 

そのレポート画面では、リアルタイムで様々な指標の集計結果を見ることができますが、3カ月に一度は、そのトレンドを追って一喜一憂するのではなく、主要なKPIについてセグメント分析(比較)や深堀分析(粒度を上げる)を行い、企画や記事の改善につなげていくことをお勧めします。

 

PDCAは一度やればおしまいというものではありません。重要度の高い業務として、定期的な予定に組み込みましょう。

 

 

2、アクセス解析の導入

オンラインでは、設定次第で実に幅広いデータの計測・収集が可能ですが、ここでは、Web社内報改善のために、初心者におすすめの4つのKPI(Key Performance Indicator、主要なパフォーマンス指標)と、その目標値の設定例(ただし、必ずしもこれが適切とは限らない)を紹介します。

 

社内報コンサルタントからのワンポイントアドバイス
KPI(Key Performance Indicator、重要経営指標)と、その目標は別のものです。例えば、以下のように整理できます。

目的=出来るだけ多くの社員にWeb社内報を読んでもらうこと

KPI=アクティブ・ユーザ率

KPIの目標=80%

  • 1各記事に対するセッション数(ページビュー、PV)

それぞれの記事に対するセッション(閲覧)の回数は見出しの魅力度や、導線成功の指標と考えられます。分かりやすいので、最初のKPIとして目標を設定し、改善につなげていきやすい指標です。

 

ただしPVさえあげればよいというものではなく、「記事そのものの魅力度」としては、そのサイトの平均滞在時間などの深堀分析をする必要があることにご注意ください。

 

目標例:優良=85%以上、健康=55%以上、危機=16%以下

  • 2アクティブ・ユーザー率

任意の期間内に一度でも何らかの記事を閲覧したユニークユーザー(UU)の、全アカウント数に対する割合を見る指標です。Web社内報という媒体そのものの浸透度を測るものとして見られます。この指標が悪い場合は、まずはWeb社内報の認知度を疑い、改善のための周知施策を工夫します。

 

目標例:優良=85%以上、健康=55%以上、危機=16%以下

  • 3サイト内回遊率

ページビュー(PV)数÷セッション数で、一度のセッションでいくつの記事が続けて読まれたかを見る指標です。数字が大きいほど、読者の関心を多面的に引き続ける魅力的な情報発信ができているということになります。この指標が悪い場合は、関連記事表示やサイト内の導線設計を見直します。

 

目標例:優良=4.0以上、健康=2.5以上、危機=1.0

  • 4平均ページ滞在時間

この指標は、記事の魅力度を図るため、各ページごとに異なる「想定読了時間」の仮説を立てたうえで、その目標からのマイナス誤差で、それぞれの記事が最後まで読まれたかどうかを推察します。

 

目標例:優良=誤差30秒以内、健康=1分以内、危機=3分以上

(注意)Google Analyticsの滞在時間は「該当ページの閲覧開始時刻と次に閲覧したページの閲覧開始時刻の差」で計算されるため、直帰の場合・セッションの離脱直前に閲覧された場合は、実際の滞在時間に関わらずシステム上「0秒」とカウントされます。仕様を理解して使わないと混乱する指標です。

 

社内報コンサルタントからのワンポイントアドバイス
これらのKPIは、データの見方への理解を深めることでより多角的な分析が可能になり、良い施策も打てるようになります。これからオンライン社内報を運用していくという担当者様は、Googleが提供している一般向けのアナリティクス アカデミーのeLearningコース(無料)などを活用して自習するのも良いでしょう。

 

3、KPIに対する目標設定

以上のように、幅広く深い分析が可能なオンラインKPIですが、その目標数値は2年目以降に具体的に設定していくことをおすすめします。オンライン社内報の導入初年度は、過去実績がないために、目標をどう設定すればよいかの答えがないからです。

 

ただ、「どんなポイントを見ていきたいか(例えばたくさん読んでもらうという目的のために、何をKPIとして追っていくか)」という仮説は最初から必要です。トラッキング・コードを目的に応じて適切に埋め込まねばデータ計測そのものが出来ず、その蓄積がなければ、いつまでたっても目標設定はできません。

 

オンライン社内報の導入一年目は、以下のようなオフラインの業務目標を追う傍らで、オンラインKPIは仮説に基づくデータ計測を見ながら、次年度以降に追いかけるべきものを絞り込み、その目標数値を考える準備期間としても良いでしょう。

 

一年目の行動KPI(とその目標設定)の例

  • ニュース&トピックスの配信数(毎月10本)
  • 特集企画の配信(毎月1本)
  • 経営陣ブログの配信(毎月5本以上)
  • 1記事のPV数(平均3,000PV)
  • 経営陣から現場記事へのコメント(月1回以上)

まとめ

IT化の最大の利点は、紙媒体と比べて圧倒的にデータを取りやすいことにあります。Webのアクセス解析も非常に奥が深いですが、まずは第一歩を踏み出すことが大切です。今回紹介した手法を1つずつ試して、オンライン社内報のレベルアップを図りましょう!

 

 

 

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