2018年3月22日 事例・インタビュー 12745 views
社内広報に正解はない(グリー株式会社)
社内広報に正解はない
2014年6月、グリー株式会社は社内報冊子「ジーマガ」を創刊しました。
なぜIT企業が冊子の社内報にこだわるのか。
「ジーマガ」編集チームの皆さんに、社内報制作のポイントや仕事の魅力について伺いました。
(左から)吉村さん、堤さん、山本さん
即時性の高いWeb版とメッセージ性を重視した冊子版
Q.御社では冊子版の社内報を創刊する以前から、Web版の社内報を展開されていました。まずは貴社にとって社内報が果たすべき役割とは何か、Web版と冊子版についてその位置づけを教えてください。
山本さん:
急激に社員が増えたことに伴い、社長が「社員に向けて情報発信する場所を増やしたい」と考えたことから、Web版の社内報が立ち上がりました。Web版は社内限定で公開しているので、読者は社員のみ。経営陣の考えや企業理念を伝えることが第一の目的です。即時に正しく伝えられるツールとして、経営メッセージやニュース、寄稿をメインに年間約300本の記事を発信しています。
堤さん:
一方、冊子版は社員だけでなく社員のご家族にも「グリーの今」を伝えていきたいと思い、スタートしました。年2回発行の冊子版は即時性よりもメッセージ性を重視。経営陣による全社向けの発表や社員の話をもとに、何を伝えていくか年間でストーリーを考え、方針を決定してから企画に落とし込んでいきます。また、「等身大のグリー」を伝えられるツールとして、採用活動にも活用されていますね。
デザインは付加価値ストーリーのある社内報を
Q.「ジーマガ」はメディアで取り上げられ、他社の問い合わせが多くなっているなど、社外からも高く評価されています。「ジーマガ」を制作するうえで心がけていることはありますか。
山本さん:
企画については、1年間を通して2冊に関連性や統一感があるかを意識しています。会社として社員や家族に伝えたいことが、各記事を繋ぎ合わせて一つのストーリーになっているかが重要ですね。また、表紙から裏表紙まで、すべてに意図したメッセージがあります。各コンテンツ、各ページがなぜこの企画なのか、その理由が必ず説明できるようにしています。
Q.社内報のつくり方を学べるツールは世の中に決して多くありません。取材や編集、デザイン面などにおける貴社のこだわりについても、ぜひお聞かせください。
堤さん:
取材では取材対象者に自分自身の言葉で話してもらい、原稿をつくる際はその人の個性が消えないようにしています。もちろん表記ルールの統一に従って文章を整えますし、取材対象者が伝えたかったことを100%伝えられるよう、大幅に編集することもあります。それでもできる限り、その人の人柄がそのまま伝わるような文章表現を意識していますね。
吉村さん:
デザインはあくまで付加価値だと思っています。特に「ジーマガ」のデザインコンセプトの一つは、「読んでいて安心する」「親しみやすい」と感じてもらうこと。広告と違い、飛び抜けたビジュアルは必要ありません。とはいえ、同じトーンで発行を重ねると飽きられるもの。社内報への興味を喚起するのはコンテンツの力もありますが、デザインの力が加わってこそ「楽しんで読みたい」と思ってもらえるのではないでしょうか。記事を読ませるためのデザインにしたいと思っています。
会社や社員を知り、発信するその先にあるやりがい
Q.社内広報の仕事の魅力は、どのようなところにあるとお考えですか。
堤さん:
私は進学や就職など所属する組織を選ぶ時、「面白い人がたくさんいるかどうか」をポイントの一つにしていました。当社にはユニークな経歴の持ち主が多く、社内報の制作を通じて面白い社員と知り合えることがとても楽しいですね。たくさんの社員の人生を知ることで、私自身の人生が豊かになっていると感じます。また、以前に当社の社長との対談企画で、ライフネット生命保険の岩瀬社長、楽天の三木谷社長、C Channelの森川社長など著名な方にご協力いただきました。この仕事に携わらなければ、なかなか経験できないこと。社内広報の楽しさは、社内外問わずさまざまな人に出会えることにあるのかもしれません。
山本さん:
この仕事は、正解がないところが面白いのではないでしょうか。会社ごとに求められることは違い、伝えなければならないことも違います。会社のことを理解し、社員やその家族のために発信した結果として、「会社のことがわかった」「家族に良い会社だねと言ってもらえた」「子どもの仕事のことが少しわかりました。応援しています」といった感想を頂ける。それが楽しさでありやりがいだと思います。
【グリー株式会社】
ソーシャル・ネットワーキング・サービス「GREE」や、世界初のモバイルソーシャルゲームを開発するなど、日本のモバイルインターネットサービスを牽引。現在はモバイルゲームを軸にリフォームやベビーシッターサービスなど、幅広いジャンルでインターネットを通じた新規事業を創出している。
【ジーマガ】
年2回発行、A4変型24p~28p、配布対象は社員と社員のご家族(全社員の自宅と希望する宛先1件に発送している)