担当者interview ~my style~第1回 株式会社東急ハンズ 横山 由紀子さん

インタビュー

【プロフィール】
株式会社東急ハンズ
経営企画部 ブランディング課
横山 由紀子さん

2004年入社。総務課に配属され、秘書と慶弔関連の業務に携わる。社内報担当になったのは2007年から。秘密のモチベーションアップ法は、「アンケートからおほめの言葉をピックアップして読み返すこと」だとか。

1976年の創業以来、豊富な品揃えと独特な店舗演出で多くのファンを魅了している東急ハンズ。全国各地に展開する23店舗では、それぞれの地域や立地の特性を活かした個性的な表情が魅力的だ。そんな東急ハンズで社内報担当を務めるのが、ブランディング課の横山さん。2007年の配属以来、社内報制作を担当して5年目を迎える。果たして、当時はどんな苦労があったのだろうか。

半泣きで作った第1号

インタビュー

「最初は『本当に自分一人で大丈夫だろうか…』という不安が大きかったです。読むのと作るのとでは全然違う、ということを痛感しました。特に、初めて担当した時の特集が商品仕入れの仕組みを見直すという大きな改革についてだったので、あちこちに原稿を確認してもらったり、校了直前に原稿が大きく差し替わったり。半分泣きながら作り上げたことが忘れられません」

媒体特性をうまく使い分けて効果を狙う

東急ハンズの社内広報では、情報によって媒体を使い分けている。店舗勤務の従業員が大多数を占めるため、紙媒体の社内報が最も有効な情報発信ツール。それ以外はサポート的な役割として、インターネット上の掲示板や各店舗に配布する壁新聞などを活用している。

「当社の社内報は、特別号を除いて年に6回発行しています。ここには、会社として知ってほしい情報を重点的に掲載。たとえばこの2年間は、2009年に制定したブランドステートメントである“ヒント・マーケット”を浸透させるために、社内報をフル活用してきました。抽象的なイメージだけに、『ヒント・マーケットとは何か』『これまでとは何が違うのか』『自分たちはどうすればいいか』ということを、事例紹介や取材を通じてなるべく具体的に伝えるように心がけていました。一方、ウェブはイベントやディスプレイの好事例を紹介するなど、速報性の高い情報を伝えるツールとしています。なかなか全員の目に届きにくいため、“紙媒体は確実性、ウェブは速報性”と使い分けています」

特に注目すべきは、ウェブの使い方。「従業員同士のコミュニケーション活性化も期待して…」と横山さんが言うとおり、掲示板形式を採用しているので、各店から自由に意見や情報を書き込める。一方通行ではなく情報共有の場として、ウェブを活用しているのだ。「さらに、新店舗の情報など、スピーディかつ確実に読んでほしい情報は壁新聞に掲載。全店舗に配布し、目立つところに貼ってもらっています」とのこと。「紙が7割で、あとは3割くらいかな」というように、それぞれの媒体に役割を分担し、より効果的な社内広報に活用されているのだ。

読まれる社内報を作るには欠かせない「現場の声」

小売業のように店舗展開する企業では、時として社内報を制作する本社と現場の“温度差”や“距離感”が壁になってしまうこともある。一生懸命作り上げた社内報を、読んでほしい人にしっかりと読んでもらうための工夫が欠かせない。

インタビュー

「私は入社以来ずっと本社に勤務しているため、現場の生の声を拾うのがなかなか難しくて…。ですから、現場に立つ同期や、店舗から本社に移ってきた人の意見は貴重です。たとえば、接客の好事例やクレーム対処法など、現場の方々はより実践的な内容を社内報に求められているようです。そうしたニーズと、会社として伝えるべき情報のバランスをとって、一人でも多くの社員に読んでもらい、仕事に役立ててもらえる社内報にしたいと思っています」と、横山さん。たとえば決算報告の特集などは、内容がどうしても難しくなりがち。そこで、決算に関する疑問をチェックシート形式にしたページを織り込み、「自分はどうだろう?」と目を引きつける導線を設定。普段なら数字を見ただけで終わってしまう決算報告も、「自分のこととして実感しながら読めた」という声が寄せられたそうだ。読者のニーズと会社情報をうまくミックスさせたことが成功につながった。

読んでもらえている喜びとやりがい

やはり、読者あっての社内報制作。「社内報担当として一番うれしいのはいつ?」という質問に、横山さんは「社員に喜んでもらえた時」と即答してくれた。
「以前、北海道の小型専門店を取材したときのこと。『社内報を通じて、これまでの頑張りをたくさんの人に知ってもらえるのはすごくうれしい』と言われました。さらに、そうやって取材した企画に対して、読者からは『頑張っている人たちの姿を見て、元気をもらえた』というお声もいただけたんです。社内報は触媒のような役割で、全国の社員をつなぐことができるんだと、改めて感じました」。
社内報制作は、明確な効果を得るのが難しい仕事。それだけに、一つ一つの声が担当者の励みになるのかもしれない。

インタビュー

「社内報を作っていると、企画や原稿などで考え込んでしまうことがよくあると思います。でも、一人で悩んでいてもなかなか答えは見つけられません。そんな時は、『自分はこういう企画をやりたい』という想いを持った上で、とにかく周りの人に相談。“社員の皆さん”という読者がそばにいるわけですから、その生の声を取り入れながら、自分なりのヒントを見つけ出していければいいですよね」という横山さんの言葉から、会社をつなぎ社員をつなぐという、社内報の真の役割を改めて知ることができるようだ。

一覧に戻る